示談交渉・示談の効果・示談金の相場

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刑事事件の示談とは|示談の効果・流れ・示談書の条項・弁護士が必要な理由

被害者がいる刑事事件で最も重要な弁護活動のひとつが 「示談」です。示談が成立することで、逮捕の回避・早期釈放・不起訴処分・執行猶予の獲得につながる可能性があります。

ただし、示談は単にお金を支払えばよいというものではありません。 示談書の内容・交渉のタイミング・被害者へのアプローチの方法が結果を大きく左右します。また、ご本人や家族が被害者に直接連絡することは、かえって状況を悪化させる危険があります。示談交渉は必ず弁護士を通じて行うことが重要です。

刑事事件における示談とは

「示談」とは、刑事事件において加害者が被害者に謝罪し損害を賠償することで、当事者間の紛争を解決する合意です。ただし、民事上の和解契約(当事者が互いに譲歩する「互譲」を要件とする合意)とは性質が異なります。刑事事件における示談は、加害者が被害回復と謝罪を行い被害者がこれを受け入れるという「被害弁償を中心とした合意」であり、刑事手続きの結果にも大きな影響を与えます。

民事上の和解(互譲)と刑事事件における示談の違い

民事上の「示談」(正確には和解契約)は、当事者双方が互いに譲歩(互譲)して紛争を解決する合意です。これに対して、刑事事件における「示談」は、加害者が被害者に対して一方的に謝罪・弁償を行い被害回復を図るものであり、当事者が対等に譲り合う民事の和解(互譲)とは性質が異なります。刑事の示談の本質は「被害弁償と謝罪の受け入れ」にあり、被害者からの追加譲歩を求めるものではありません。

比較項目 民事上の和解(互譲) 刑事事件における示談(被害弁償を含む)
法的性質 当事者双方が互いに譲歩して紛争を解決する契約(民法695条) 加害者が被害弁償・謝罪を行い、被害者がこれを受け入れる合意。双方の譲歩(互譲)は必須要件でない
目的 民事上の権利義務関係の解決 被害回復・謝罪に加え、刑事処分(不起訴・執行猶予等)への影響を目指す
成立の効果 紛争が終結し、清算条項があれば追加請求ができなくなる 被害回復の事実として、検察官・裁判所の判断に有利な事情となる
刑事手続きとの関係 刑事手続きには直接影響しない 刑事手続きは継続するが、示談の成立は処分判断の最重要事情となる(親告罪で告訴取消しの場合は事件終了)
交渉の性質 当事者同士での交渉が可能なケースもある 被害者が加害者との直接接触を拒否することが多く、弁護士による交渉が事実上必須

📌 示談が成立しても刑事手続きは終わらない(原則)

示談が成立しても、親告罪(器物損壊罪・不同意わいせつ罪等、告訴がなければ起訴できない罪)で告訴が取り消された場合を除き、 刑事手続きは自動的には終了しません。検察官は引き続き起訴・不起訴を判断します。ただし、示談の成立は検察官の判断に強く影響する最重要の事情となります。

示談の効果——手続きの各段階でどう変わるか

示談が成立したタイミングと状況によって、刑事手続きへの影響が異なります。早ければ早いほど、より大きな効果が期待できます。

段階 示談成立の効果
逮捕前 被害者が被害届・告訴状を提出しなければ、刑事事件として立件されない可能性がある。既に提出済みでも、取り下げてもらえれば事件化を防げる場合がある
逮捕後・勾留前 「示談が成立し、被害者が処罰を求めていない」という事実が、勾留の必要性(証拠隠滅・逃亡のおそれ)を低下させ、早期釈放・勾留回避につながる場合がある
勾留中・起訴前 検察官が処分を決定する前に示談が成立していれば、不起訴処分(起訴猶予)の可能性が大幅に高まる。特に宥恕条項がある場合に効果が大きい
起訴後・裁判中 起訴後の示談でも、法廷に示談書を提出することで有利な情状となり、執行猶予の獲得・量刑の軽減につながる可能性がある

「宥恕条項あり」と「宥恕条項なし」の示談——効果の違い

示談書に宥恕条項(被害者が加害者を許す意思を示す条項)があるかどうかで、刑事処分への影響が大きく異なります。

区分 内容 刑事処分への影響
宥恕条項あり 「被害者は被疑者の謝罪を受け入れ、その処罰を求めない」という条項を含む示談 最も強い効果。検察官が不起訴を選択しやすく、裁判でも執行猶予獲得の有力な根拠となる
宥恕条項なし
(示談金の受領のみ)
被害者が示談金を受け取るが、処罰を求めないとまでは明示しない示談 被害回復の事実として考慮されるが、宥恕条項ありの場合より影響は限定的
示談不成立
(被害者が拒否)
被害者が示談自体を拒否するケース 示談の効果は得られないが、弁護士を通じた誠実な謝罪の姿勢・供託等の代替措置が処分に影響する場合がある

示談書の主な条項——何を盛り込むべきか

示談書は、当事者間の合意内容を書面化したものです。内容が不十分だと後日トラブルが生じる可能性があります。刑事事件の示談書には以下の条項が重要です。

① 宥恕条項(最重要)

被害者が加害者を許す意思を示す条項。刑事処分への影響が最も大きく、示談交渉において最も重要な条項です。

例:「甲(被害者)は、乙(加害者)の謝罪を受け入れ、今回に限り乙を許すものとし、乙に対する一切の刑事処罰を求めない。」

② 清算条項

示談書に記載された内容以外に当事者間の債権債務関係がないことを確認する条項。示談成立後の追加請求を防ぐために必須です。清算条項がない場合、「まだ損害賠償が終わっていない」として後から追加請求されるリスクがあります。

例:「甲と乙との間には、本件に関し、本示談書に定めるほか、何らの債権債務関係も存在しないことを相互に確認する。」

③ 接触禁止条項

示談成立後、加害者が被害者に接触しないことを約束する条項。特に痴漢・盗撮・ストーカー・DV事案で重要です。被害者が安心して示談に応じるための条件となることも多い条項です。

例:「乙は、甲に対し、今後一切接触(電話・メール・SNS・面会等)を行わない。」

④ 口外禁止条項

示談の内容・事実を第三者に口外しないことを双方が約束する条項。当事者双方のプライバシー保護のために設けられます。

例:「甲及び乙は、本示談書の内容について、正当な理由なく第三者に対して口外しないことを約束する。」

⑤ 被害者情報秘匿条項

加害者が保管する示談書に被害者の氏名・住所等を記載しない(または黒塗りにする)ことを定める条項。被害者のプライバシーを保護し、加害者に被害者の連絡先が知られないようにします。特に性犯罪・ストーカー事案では必須となる条項です。

例:「乙の保管する本書面においては、甲の住所・氏名・連絡先を黒塗りにした状態で交付するものとする。」

⚠ 清算条項のない示談書は後日トラブルの原因になります

清算条項がない場合、示談金を受け取った後でも被害者から追加の賠償請求がなされる可能性があります。また、清算条項の範囲(「本件に限る」か「当事者間のすべての債権債務」か)によっても効果が異なります。 示談書の作成は必ず弁護士に依頼してください。

示談金の考え方——「相場」ではなく個別の事情から検討します

刑事事件における示談金(被害弁償金)は、いくつかの要素を総合的に考慮して決定されます。特に被害者の精神的損害を伴う事案では「相場」という考え方はなじまず、被害者が受けた影響の深刻さと個別の事情から慎重に検討する必要があります。

示談金(被害弁償額)を構成する要素

要素 内容
財産的損害(実損額) 盗まれた物の時価・壊れた物の修理費・治療費・休業損害など、客観的に算定できる損害額。被害弁償の出発点となる
精神的損害(慰謝料) 被害者が受けた恐怖・精神的苦痛に対する補償。被害の態様・継続性・被害者の状況によって大きく異なり、画一的な「相場」は存在しない
謝罪金・迷惑料 財産的損害・慰謝料とは別に、被害者の宥恕を得るための誠意を示す金額。被害者との交渉の中で加減される

示談金額の検討に際して考慮される事情

刑事事件の示談金額は、以下の事情を総合的に考慮して弁護士が提案額を検討します。被害者側が提示した金額をそのまま受け入れるか、交渉するかも含めて、弁護士が依頼者とともに方針を立てます。

考慮事情 内容
被害者が受けた影響 被害の深刻さ・継続性・精神的ダメージの程度・日常生活への影響。特に精神的損害を伴う事案ではこれが最も重要な考慮事情となる
刑事罰の法定刑・罰金額 仮に起訴・有罪となった場合の罰金刑の上限額は、示談金の水準を考える上での参考となる。示談金がその額を大幅に超える場合には合理的な説明が必要になることもある
依頼者の資力 示談金は支払い可能な範囲で現実的に準備できなければ意味をなさない。資力に見合った弁済計画を立て、場合によっては分割払いを提案することもある
財産的損害の実損額 治療費・修理費・盗品の時価等の客観的な実損額は、被害弁償額の最低ラインとして必ず填補する必要がある
事件の態様・悪質性 計画性・常習性・被害者との関係性・行為の態様など。悪質性が高いと被害者の処罰感情が強く、より高額でないと宥恕が得られにくい場合がある
交渉の経緯・被害者の意向 被害者が示談金の額を強く主張している場合の対応や、逆に金額よりも謝罪の態度を重視している場合の対応など、交渉の流れの中で柔軟に判断する

⚠ 精神的損害を伴う事案に「相場」はありません

痴漢・盗撮・性犯罪・暴行・傷害・ストーカー等、被害者の精神的苦痛を伴う事案では、被害者が受けた影響は個人によって大きく異なります。一律の「相場」を当てはめることは被害者の実情を無視することになり、かえって示談交渉を困難にする場合があります。弁護士が事案の内容を丁寧に確認した上で、依頼者の資力と被害者の状況を踏まえて提案額を慎重に検討します。

示談交渉の流れ

1

弁護士への相談・方針決定

まず弁護士が事案の内容・被害の程度・被害者との関係等を確認し、示談交渉の方針(金額・条項・タイミング)を決定します。逮捕前・逮捕直後からの着手が最も効果的です。

2

被害者の連絡先の把握

弁護士は捜査機関(警察・検察)を通じて被害者の連絡先・意向を確認します。被害者が直接の連絡を了承した場合に初めて、弁護士が被害者に連絡を取ります。被疑者本人やご家族が被害者に直接連絡することは、証拠隠滅と評価され逆効果となります。

※捜査機関が被害者の連絡先を教えない場合もあります。その場合は弁護士が捜査機関に働きかけます。

3

謝罪・被害弁償額の提示・交渉

弁護士が被害者に謝罪の意を伝え、被害弁償額を提示して交渉を開始します。提示額は、被害者が受けた影響・財産的損害の実損額・依頼者の資力・事件の態様等を踏まえて弁護士が検討します。被害者の感情・意向を丁寧に確認しながら、宥恕条項を含む示談書の内容について合意を目指します。

※被害者が感情的に強い拒否をしている場合は、まず誠意のある謝罪の意を伝えることから始め、段階的に交渉を進めます。

4

示談書の作成・取り交わし

合意内容をもとに弁護士が示談書を作成し、双方が署名・捺印して示談成立となります。宥恕条項・清算条項・接触禁止条項・被害者情報秘匿条項など、必要な条項が漏れなく盛り込まれているかを確認します。

5

検察官・裁判所への提出・報告

成立した示談書を証拠として検察官・裁判所に提出します。示談成立の事実・宥恕の内容・被害者の意向を弁護士が意見書とともに提出することで、不起訴処分・執行猶予の獲得を積極的に働きかけます。

示談が難しい・できないケースと対応策

すべての事件で示談が成立するわけではありません。示談が困難な場合でも、弁護士はその状況に応じた対応策を検討します。

状況 理由・背景 弁護士の対応策
被害者が示談を強く拒否する 精神的被害が大きい・処罰感情が強い・繰り返しの被害がある等 謝罪文の送付・弁護士を通じた誠実なアプローチを継続。供託・贖罪寄付によって弁済の意思を示す。被害者の感情に配慮しながら粘り強く交渉する
被害者がチェーン店・大企業の場合 本部・本社の方針として「原則、示談交渉には応じない」「示談書の作成はしない」と定めているケースが多い(コンビニ・スーパー等の万引き事案に多い) 示談書の作成にこだわらず、被害商品の買取(実質的な被害弁償)を行う。被害賠償を受領した事実が検察官・裁判官に積極的に評価される(後述)
被害者が複数いる 各被害者と個別に交渉が必要。一人でも拒否すると全員との示談成立が困難になることも 各被害者との個別交渉を並行して進める。示談成立した件数・割合も処分の考慮事情となる
性犯罪・DV・ストーカー事案 被害者の恐怖心・トラウマが大きく、加害者との接触自体を強く拒む場合が多い 接触禁止条項・被害者情報秘匿条項を前提に、捜査機関を通じた慎重なアプローチ。直接交渉が困難な場合は示談書の郵送による交渉も検討する
被害者がいない事件
(薬物・飲酒運転等)
示談という手段が存在しない 贖罪寄付・供託・依存症治療への通院・再犯防止プログラムへの参加等の代替措置を講じ、検察官に積極的に示す

📌 示談が成立しなかった場合も弁護活動は続きます

被害者が示談を拒否した場合でも、弁護活動は終わりではありません。弁護士が誠実な謝罪の意思を示した事実・供託・贖罪寄付の実施・再犯防止策の整備などを検察官・裁判所に積極的に示すことで、不起訴処分や執行猶予の実現を目指します。

チェーン店・コンビニ等が被害者の場合——「実質的な示談」としての被害弁償

万引き・窃盗事案でよく問題となるのが、被害者がコンビニエンスストアやスーパー、量販店などのチェーン店・フランチャイズ店舗のケースです。これらの企業は本部・本社の方針として「原則、示談交渉には応じない」「示談書の作成はしない」と定めていることが多く、弁護士が交渉を申し入れても断られる場合がほとんどです。

「示談書が作れない」=「何もしなくていい」ではありません

示談書の作成ができないからといって、被害弁償を諦めることは適切な弁護活動とはいえません。示談書が作成できない場合でも、弁護士を通じて被害商品の買取(時価相当額の弁償)という形で被害弁償を行うことが、実質的な示談として機能します。

多くの場合、チェーン店・法人は示談書の作成は断りながらも、弁護士を通じた被害金額相当の弁済の受領は拒まないことがほとんどです。弁護士が店舗・本部と連絡を取り、被害商品の時価相当額を支払い、その受領を確認することで、実質的な被害回復が実現します。

被害弁償の実施が検察官・裁判官に評価される理由

法務局への供託や弁護士会等への贖罪寄付も、被害弁償の意思を示す手段として活用されますが、実務上の評価の順位は以下のとおりです。

手段 内容 検察官・裁判官の評価
被害弁償の受領
(実質的な示談)
弁護士を通じて被害金額相当額を被害者(店舗・法人)に受け取ってもらった事実 最も高く評価される。被害が実際に回復されており、被害者側も受領した事実が明確なため、不起訴・執行猶予判断に直接的に影響する
法務局への供託 被害者が受取を拒否した場合等に、賠償相当額を法務局に供託する 弁済の意思があることは示せるが、被害者が実際に弁償を受けていない点で、被害弁償の受領より評価が劣る
弁護士会等への贖罪寄付 被害者がいない・受領しない場合に反省・被害への償いの姿勢を示す手段 被害者への直接的な弁償ではないため、被害弁償受領・供託よりも評価の順位は低い。補完的な手段として活用する

📌 追加請求のリスクは限定的です——被害弁償を躊躇う必要はありません

「示談書(清算条項)がなければ後で追加請求されるのでは」と心配される方もいますが、被害者が チェーン店等の法人(店舗・企業)であり、被害が物損のみの場合は、実務上追加請求のリスクは極めて低いといえます。また、 個人が被害者の場合でも、精神的損害が軽微にとどまるケース(短時間・単発の接触・財物被害のみ等)では、被害弁償を誠実に行うことで追加請求に発展するリスクは限られます。清算条項のない状態を理由に被害弁償そのものを行わないことは、依頼者の利益を損なう対応です。なお、精神的被害が重大な事案(性犯罪・ストーカー・DV等)では示談書に清算条項を盛り込むことが重要であり、弁護士が適切に判断します。

実務上の対応の流れ(チェーン店・コンビニ等の万引き事案)

ステップ 内容
①弁護士が店舗・本部に連絡 弁護士が店舗または本部の担当部署に連絡し、「被害弁償を行いたい」旨を伝える。示談書の作成は断られても、弁償の受領の可否を確認する
②被害金額相当額の振込・支払い 被害商品の時価相当額(購入価格相当)を、店舗または本部が指定する口座等に弁済する。受領確認書(領収書等)を受け取れる場合はもらう
③被害弁償の事実を証拠化 振込明細・受領確認・弁護士の交渉経緯等を資料としてまとめ、検察官または裁判所に提出できる状態にする
④意見書への記載 弁護士が検察官への不起訴意見書・裁判所への弁護側書面に「被害弁償が完了しており、店舗側もこれを受領済みである」旨を明記して提出する

示談交渉を弁護士に依頼すべき理由

  • 被害者への直接連絡は状況を悪化させます
    ご本人やご家族が被害者に直接連絡・接触しようとすると、「証拠隠滅・被害者への圧力」と評価されて逮捕リスクが高まり、被害者の処罰感情も悪化します。被害者への連絡は必ず弁護士を通じて行ってください。
  • 捜査機関を通じた被害者連絡先の把握
    弁護士は捜査機関(警察・検察)を通じて被害者の意向・連絡先を確認することができます。被疑者本人やご家族が捜査機関に被害者の連絡先を教えてもらうことは通常できません。
  • 適切な示談金額の算定と交渉
    示談金が高すぎても低すぎても交渉が成立しにくくなります。弁護士が事案の内容・被害の程度・類似事案の傾向をもとに適切な金額を設定し、交渉を進めます。
  • 宥恕条項・清算条項等を含む適切な示談書の作成
    宥恕条項・清算条項・接触禁止条項・被害者情報秘匿条項など、必要な条項が盛り込まれていない示談書は、後日トラブルになるだけでなく、刑事処分への影響も限定的になります。弁護士が法的に適切な示談書を作成します。
  • 示談成立を検察官・裁判所に効果的に示す
    示談書を作成するだけでは不十分です。弁護士が示談の経緯・被害者の意向・宥恕の内容を意見書とともに検察官・裁判所に提出し、不起訴処分・執行猶予の実現を積極的に働きかけます。
  • タイミングの判断——いつ示談を開始するかが重要
    書類送検前の早期示談が最も効果的ですが、被害者の感情に配慮しすぎて遅くなりすぎることも問題です。弁護士が手続きの状況を把握しながら、最適なタイミングで示談交渉を開始します。

よくある質問

Q. 示談が成立すれば必ず不起訴になりますか?

示談の成立は不起訴判断に大きく影響しますが、示談成立だけで不起訴が保証されるわけではありません。犯行の悪質性・前科の有無・被害の程度・余罪の有無なども総合的に考慮されます。ただし、宥恕条項を含む示談書が成立している場合は、不起訴処分となる可能性が大幅に高まります。

Q. 示談金はどこから支払えばよいですか?

ご本人の預貯金・ご家族からの援助など、資金の出所は問いません。逮捕・勾留中は本人が動けないため、ご家族が資金を準備して弁護士に預け、弁護士が示談交渉と並行して支払いの段取りを整えることが一般的です。一括払いが困難な場合は、分割払いで示談交渉するケースもあります。

Q. 被害者が示談に応じてくれません。どうすればよいですか?

まず、被害者の種類によって対応が異なります。チェーン店・コンビニ等の法人が被害者の場合は、示談書の作成は断られても被害弁償(被害額相当の弁済)の受領には応じてもらえることが多く、弁護士を通じて積極的に被害弁済を行うことが最優先です。被害弁償が受け入れられた事実は、供託・贖罪寄付よりも検察官・裁判官に高く評価されます。個人の被害者が示談を強く拒否している場合は、弁護士が誠実な謝罪の意思を伝え続けながら、被害弁償の受領を試み、それが叶わない場合に限り供託(法務局に賠償相当額を預ける)を検討します。贖罪寄付(弁護士会等への寄付)は、被害弁償・供託ができない場合の補完的な手段です。これらの手段は効果の大きい順に、被害弁償の受領→供託→贖罪寄付の順で活用することが実務上の基本です。

Q. 示談書にサインしてしまいましたが、後から取り消せますか?

示談書は当事者間の合意契約であり、原則として一度成立した示談を一方的に取り消すことはできません。ただし、強迫・詐欺・錯誤など法律上の瑕疵がある場合は取消・無効を主張できる場合があります。示談書に署名する前に必ず弁護士に内容を確認してもらうことが重要です。

Q. 示談が成立した後、被害者から追加で請求されることはありますか?

示談書に清算条項が盛り込まれていれば、「示談書に定めた以外の請求はできない」ことが明確になるため、後から追加請求が来ても法的に応じる必要はありません。清算条項がない示談書の場合は追加請求のリスクが残ります。弁護士が作成する示談書には必ず清算条項を盛り込みます。

Q. 家族が被害者に直接謝りに行ってもいいですか?

直接の接触は避けてください。被疑者本人またはそのご家族が被害者に直接連絡・訪問する行為は、「証拠隠滅・被害者への圧力」と評価されて逮捕リスクを高めたり、被害者の処罰感情をさらに悪化させる危険があります。謝罪・示談交渉は必ず弁護士を通じて行ってください。