外国人の刑事事件|在留資格・退去強制への影響と弁護活動

⚠ 当事務所の業務範囲についての重要なご案内

当事務所は 刑事事件に特化した法律事務所です。 退去強制手続きへの対応・在留資格の申請取次・在留特別許可申請・ビザ・永住申請等の入管業務は取り扱っていません。

入管業務(退去強制対応・在留資格申請取次・在留特別許可申請・ビザ・永住申請等)が必要な場合は、 最初から入管申請取次の登録を有する弁護士等にご相談ください。当事務所では専門家のご案内も行っておりません。
外国人の方が刑事事件の当事者となった場合、日本人の場合と比べて 在留資格の喪失・退去強制(強制送還)という重大なリスクが加わります。川口市は埼玉県内で外国人人口が最も多い市であり、当事務所ではこれまでも多くの外国人の方やそのご家族からご相談をお受けしてきました。

刑事事件の処理と在留資格への影響は密接に関係しており、 不起訴処分の獲得・早期身柄解放が在留資格を守る上で最も重要な弁護活動となります。まずはご相談ください。

📋 当事務所の対応言語・通訳についてのご案内

  • 多言語でのお問い合わせ:ウェブサイトのメールフォームからは、外国語でのお問い合わせをお受けしています。内容を確認の上、ご連絡いたします。
  • 電話・来所相談:電話および来所での面談は日本語で対応しています。日本語でのご対応が難しい場合は、ご家族・知人など通訳ができる方と一緒にお越しいただくか、電話に同席していただくようお願いしています。
  • 接見(留置場・拘置所への面会)・法廷での通訳:接見や刑事裁判の法廷に通訳人を同行・手配することも可能ですが、その場合は別途通訳費用が必要となります。詳しくはご相談時にご説明します。

外国人の刑事事件が日本人と異なる点

外国人の方が刑事事件の被疑者・被告人となった場合、刑事手続きそのものは日本人と同様に進みます。しかし、以下の点で日本人とは大きく異なる問題が生じます。

相違点 内容
退去強制のリスク 一定の刑事罰を受けると、在留資格の有無にかかわらず退去強制(強制送還)手続きの対象となる場合がある
在留資格の更新・変更 不起訴処分でも捜査対象となった事実(前歴)が、在留資格の更新・変更・永住申請・帰化申請で不利な事情として考慮されることがある
在留期間の超過リスク 身柄拘束(逮捕・勾留)が長期化すると、在留期間の更新手続きができず、在留期間を超過してしまうリスクがある
言語の問題 捜査機関は通訳人を手配する義務があるが、弁護士との相談・書類の確認には別途対応が必要な場合がある
身元保証・監督体制 日本に家族や保証人がいない場合、勾留回避・保釈の際に身元引受人の確保が困難になることがある

📌 外国人事件では「不起訴処分の獲得」と「早期身柄解放」が最重要

外国人の方の刑事事件では、刑事罰を受けることが退去強制や在留資格の喪失に直結するケースがあります。 不起訴処分を獲得することが在留資格を守る最も確実な方法であり、身柄拘束が長引くことによる在留期間超過を防ぐためにも、早期の身柄解放が不可欠です。これらを実現するため、逮捕直後から弁護士が積極的に活動することが重要です。

退去強制(強制送還)——刑事罰が在留資格に与える影響

退去強制とは、出入国管理及び難民認定法(入管法)の定める事由に該当する外国人を、行政手続によって強制的に日本から送還することです(入管法第24条)。刑事事件を起こしたことが退去強制事由に該当するかどうかは、罪の種類・刑の内容・在留資格の種類によって異なります。

刑事罰が退去強制事由となる主なケース

退去強制事由の類型 内容(入管法第24条) 在留資格の区別
1年超の実刑 無期または1年を超える拘禁刑の実刑判決を受けた者(刑の全部または一部の執行猶予を除く) 永住者等、一般の在留資格を有する外国人が対象。特別永住者は入管特例法第9条により退去強制事由が厳格に限定されており、この類型(1年超の実刑)による退去強制は適用されない
薬物犯罪 麻薬・覚醒剤・大麻等の薬物犯罪で罰金以上の刑に処せられた者 永住者等、一般の在留資格を有する外国人が対象。特別永住者は入管特例法第9条により退去強制事由が厳格に限定されており、薬物犯罪はその事由に含まれない
活動資格者の刑事犯 活動資格(就労・留学・技能実習等)を有する者が、粗暴犯・財産犯・偽変造犯等で懲役・禁錮刑に処せられた者 永住者・特別永住者はこの類型の対象外
在留資格なし・オーバーステイ 在留資格がない・在留期間を超過している状態での有罪判決(執行猶予付きを含む) 在留資格がない者。執行猶予付き判決でも退去強制手続きが開始される

⚠ 執行猶予付き判決でも退去強制となる場合があります(在留資格なしの方等)

在留資格を持たない方の場合、執行猶予付き判決を受けた段階で退去強制手続きが開始され、入管職員が判決の言渡し当日に法廷で待機し直ちに身柄を引き取るケースもあります。在留資格を有する方でも、在留資格の種類・刑の内容によっては退去強制事由に該当する場合があります。なお、 特別永住者については、一般の刑事犯罪で退去強制となることは法律上・実務上ともに極めてまれです。いずれの立場であっても、不起訴処分の獲得が在留資格を守る最も確実な対応です。

在留資格の種類と退去強制リスクの違い

在留資格の区分 退去強制事由の基準 注意点
特別永住者
(在日コリアン等)
入管特例法第22条により、退去強制事由は以下の4類型に限定されている。①刑法の内乱に関する罪(第2編第2章)・外患に関する罪(第3章)で拘禁刑以上(刑の全部の執行猶予を除く)、②刑法の騒乱の罪(第2編第4章)で拘禁刑、③外国の元首・外交使節またはその公館に対する犯罪行為で拘禁刑以上かつ法務大臣が外交上の重大な利益が害されたと認定した場合(外務大臣との事前協議が必要)、④無期または7年を超える拘禁刑法務大臣が日本国の重大な利益が害されたと認定した場合 ①②は内乱・外患・騒乱等の国家的重大犯罪のみ。③は法務大臣が外交上の重大な利益が害されたと認定すること、④は無期または7年超の拘禁刑に加えて法務大臣が日本国の重大な利益が害されたと認定することが要件であり、いずれも法律上のハードルが高い。一般の刑事犯罪(窃盗・傷害・薬物等)では退去強制事由には該当しない
永住者・永住者の配偶者・定住者・日本人の配偶者等 1年超の実刑・薬物犯罪等の重大事由に限定。活動資格者に適用される財産犯等は退去強制事由の対象外 比較的保護が厚いが、実刑・薬物犯罪には注意が必要。在留資格の更新・永住申請への影響も考慮
就労・留学・技能実習等の活動資格 粗暴犯・財産犯・薬物犯罪等で懲役・禁錮刑を受けた場合に退去強制事由となりうる 財産犯(窃盗・詐欺等)や暴行・傷害でも退去強制事由となりうるため、不起訴処分の獲得が特に重要。特別永住者はこの類型の退去強制事由の対象外
在留資格なし・オーバーステイ 有罪判決(執行猶予付きを含む)を受ければ即座に退去強制手続きが開始されることが多い 在留資格の有無自体が問題となっており、刑事手続きと並行して入管手続きへの対応も必要

入管特例法第22条(退去強制の特例)第1項・抜粋

特別永住者については、入管法第24条の規定による退去強制は、その者が次の各号のいずれかに該当する場合に限って、することができる。
一 刑法第2編第2章又は第3章(内乱・外患)に規定する罪により拘禁刑以上の刑に処せられた者。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者等を除く。
二 刑法第2編第4章(騒乱)に規定する罪により拘禁刑に処せられた者
三 外国の元首、外交使節又はその公館に対する犯罪行為により拘禁刑以上の刑に処せられた者で、法務大臣においてその犯罪行為により 日本国の外交上の重大な利益が害されたと認定したもの
四  無期又は七年を超える拘禁刑に処せられた者で、法務大臣においてその犯罪行為により 日本国の重大な利益が害されたと認定したもの

在留特別許可——退去強制を免れる可能性

退去強制事由に該当する場合でも、法務大臣(出入国在留管理庁長官への委任による)が「特別に在留を許可すべき事情がある」と認めたときは、在留特別許可が与えられ、引き続き日本に在留することができます(入管法第50条)。在留特別許可の判断には、日本人配偶者・子の有無・在留期間の長さ・生活の基盤・犯罪の内容・反省の度合いなどが総合的に考慮されます。

退去強制に至らない場合でも——在留資格への影響

退去強制事由に該当しない場合や不起訴処分を受けた場合でも、刑事事件に関与したことが在留資格に影響することがあります。

場面 影響の内容
在留資格の更新 不起訴処分でも前歴が残り、在留資格の更新申請で「素行が不良」として不利な事情と判断される場合がある。特に就労・留学ビザでは注意が必要
在留資格の変更 より安定した在留資格(永住者等)への変更申請において、過去の事件が審査で考慮される
永住許可申請 永住申請には「素行が善良であること」が要件とされており、前科・前歴がある場合は不許可となる可能性がある
帰化申請 帰化申請においても「素行条件」が審査されており、前科・前歴が不利な事情となる。申請時期の見極めも重要
在留期間の超過 逮捕・勾留による身柄拘束が在留期間満了をまたいだ場合、在留期間の更新ができず、オーバーステイ(不法残留)状態になるリスクがある

📌 不起訴処分を獲得すれば在留資格への影響は最小限に抑えられます

不起訴処分を受けた場合、退去強制の対象とはなりません(入管法上の退去強制事由には有罪判決が必要なため)。また、不起訴であれば前科もつきません。在留資格の更新・変更・永住申請・帰化申請においても、不起訴処分は前科ありの場合と比べて格段に有利な状況です。外国人の方の刑事事件では、 不起訴処分の獲得が在留資格を守る最優先の目標となります。

外国人の刑事事件における手続きの特徴

捜査段階での通訳人の手配

日本語を十分に理解できない外国人の被疑者には、捜査機関(警察・検察)が通訳人を手配する義務があります。取り調べ・供述調書の作成・起訴状の読み聞かせ等は、通訳人を介して行われます。ただし、捜査機関が手配する通訳人の質・対応言語は事案によって異なります。

弁護士との接見(面会)については、捜査機関が通訳人を手配することはありません。弁護士との相談を通訳を介して行いたい場合には、別途通訳人の手配が必要となります。当事務所では、接見・法廷での通訳を別途費用でご依頼いただくことが可能です。ご相談の際にご確認ください。

身柄拘束と在留期間——早期釈放の重要性

逮捕・勾留による身柄拘束が長引くと、在留期間内に在留資格の更新手続きが取れず、在留期間を超過してしまうリスクがあります。在留期間の超過(オーバーステイ)は、それ自体が退去強制事由となります(入管法第24条4号ロ)。外国人事件では、勾留を回避・短縮して早期に身柄を解放することが、刑事手続きの面だけでなく在留資格の面からも極めて重要です。

1

逮捕・送致

逮捕後48時間以内に検察へ送致されます。この段階で弁護士が接見し、事実関係の確認・取り調べ方針の決定・ご家族への連絡を行います。

※逮捕直後は弁護士のみが面会できます。ご家族はすぐに弁護士にご連絡ください。

2

勾留判断(最大20日間)——在留期間との関係

勾留が認められると最大20日間の身柄拘束が続きます。この間に在留期間が満了する場合は、出入国在留管理庁への対応が必要です。弁護士が勾留回避のための意見書を提出し、早期釈放を目指します。

※在留期間満了前に釈放されれば、更新手続きが可能です。弁護士が在留期間の確認と対応策を検討します。

3

不起訴処分の獲得(最重要目標)

被害者への示談・反省の姿勢・再犯防止策の整備等を通じて、不起訴処分の実現を目指します。不起訴であれば退去強制の対象とならず、在留資格への影響を最小限に抑えることができます。

4

起訴された場合——退去強制リスクの軽減

起訴された場合も、退去強制事由に該当しない量刑(執行猶予・罰金等)の実現を目指した弁護活動を行います。また、在留資格の種類によって退去強制事由となる刑の範囲が異なるため、在留資格を踏まえた弁護方針を立てることが重要です。

5

刑事手続き終了後——今後の手続きについての情報提供

刑事手続きが終了した後、在留資格の更新・退去強制手続きへの対応が必要になる場合があります。これらの入管手続きは当事務所の業務範囲外となります。刑事事件と入管手続きを一体的に解決する必要がある場合は、最初から入管申請取次の登録を有する弁護士にご相談ください。

※入管申請取次を伴う手続きは当事務所の業務範囲外です。入管手続きが見込まれる場合は、最初から入管手続きに対応できる弁護士等にご相談されることをお勧めします。

弁護士にできること

  • 逮捕直後の接見——在留資格の状況の確認
    逮捕直後に接見し、事実関係の確認・取り調べ方針の決定とともに、在留資格の種類・在留期間・家族状況を確認します。在留資格の状況によって弁護方針が変わるため、この確認が最初の重要なステップです。
  • 勾留回避・早期釈放——在留期間超過の防止
    勾留を回避するための意見書提出・裁判官への申入れを行います。在留期間満了が迫っている場合は、その事情を積極的に主張し、早期釈放を目指します。
  • 不起訴処分の獲得——在留資格を守るための最重要活動
    被害者への示談交渉・不起訴意見書の提出・再犯防止策の整備を通じて、不起訴処分の実現を目指します。不起訴処分は、退去強制を防ぎ在留資格を守る最も確実な手段です。
  • 在留資格を踏まえた量刑の見極め
    起訴された場合、在留資格の種類によって退去強制事由となる刑の範囲が異なります。弁護士が在留資格の状況を踏まえ、退去強制事由に該当しない量刑(執行猶予・罰金等)の実現に向けた弁護活動を行います。
  • 在留資格・退去強制リスクを踏まえた弁護方針の立案
    在留資格の種類・在留期間・家族状況・退去強制事由の該当性を踏まえ、刑事弁護の方針を立てます。在留資格によって退去強制事由となる刑の範囲が異なるため、「どの量刑であれば退去強制事由に該当しないか」を意識した弁護活動が重要です。なお、入管への申請取次を伴う手続き(在留特別許可申請・在留資格変更申請等)は当事務所の業務範囲外です。入管手続きが必要となる可能性がある場合は、最初から入管申請取次の登録を有する弁護士にご相談ください。
  • 接見・法廷での通訳手配(別途費用)
    接見や刑事裁判の法廷に通訳人を手配することが可能です。日本語でのコミュニケーションが難しい方のために、別途通訳費用でご依頼いただけます。対応可能な言語・費用についてはご相談の際にご確認ください。

よくある質問

Q. 逮捕されただけで在留資格はなくなりますか?

逮捕されただけで在留資格が直ちになくなることはありません。退去強制事由となるのは、原則として有罪判決が確定した場合です。逮捕・勾留の段階では在留資格は維持されますが、在留期間の満了が近い場合には注意が必要です。また、不起訴処分で手続きが終了すれば、基本的に退去強制の対象とはなりません。

Q. 永住者でも強制送還されることがありますか?

あります。永住者であっても、無期または1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた場合や、薬物犯罪で罰金以上の刑に処せられた場合は退去強制事由に該当します。「永住者だから絶対に大丈夫」という判断は危険であり、永住者の方も不起訴処分の獲得・退去強制事由に該当しない量刑の実現が重要です。

Q. 家族に日本人がいます。それでも強制送還されますか?

日本人配偶者・子の存在は、在留特別許可の判断において重要な考慮事情となります。退去強制事由に該当する場合でも、日本に生活基盤がある・日本人の家族がいるなどの事情があれば、在留特別許可を求めることができます。ただし、在留特別許可の申請取次を含む入管手続きは当事務所の業務範囲外です。入管手続きが必要となる可能性がある場合は、最初から入管申請取次の登録を有する弁護士にご相談ください。

Q. 在留期間が間もなく満了します。逮捕されている間に更新できますか?

身柄拘束中に在留期間が満了してしまうと、在留資格の更新手続きが困難になります。当事務所では刑事弁護の観点から早期釈放を目指し、在留期間内に釈放されるよう積極的に活動します。在留資格の更新申請そのものは当事務所の業務範囲外です。入管手続きが必要な場合は、入管申請取次の登録を有する弁護士に別途ご相談ください。在留期間の残りが少ない場合は、早急にご連絡ください。

Q. 日本語が苦手ですが、相談できますか?

当事務所では、ウェブサイトのメールフォームから外国語でのお問い合わせをお受けしています。電話・来所での相談は日本語での対応となりますので、日本語でのやりとりが難しい場合は、通訳ができるご家族・知人の方に同席いただくか、お電話に同席していただくようお願いしています。接見や法廷での通訳が必要な場合は、別途費用で通訳人の手配も可能です。詳しくはご相談の際にご確認ください。

Q. 帰化申請を考えていましたが、刑事事件に関わってしまいました。帰化はできますか?

帰化申請には「素行条件」があり、前科・前歴は審査で不利な事情となります。不起訴処分であれば前科はつきませんが、前歴は記録に残ります。帰化申請の可能性・時期については、刑事手続きの結果と前歴の影響を踏まえて総合的に判断する必要があります。まずは刑事事件の弁護活動で不起訴処分を目指すことが最優先です。