覚せい剤・麻薬取締法違反の容疑で逮捕された場合の注意点。
逮捕されて勾留されるまでには、国選弁護人は付きません。
そこで、早期の釈放を望む場合には、私選弁護人を頼む必要があります。
特に、前科がある場合には、身柄拘束が長期になる可能性があります。
また、逮捕された方が正社員であるなど定職がある場合には、両親や妻、雇用主が身元引受人となって、弁護人が勾留請求時に検察官や裁判官に被疑者に有利な事情を具体的に説明することで、「前科があっても」早期に釈放される可能性もあります。
再発防止対策としての通院治療の必要性
覚せい剤・麻薬の依存性がある方については、自らの意思で再使用を抑止することは期待できないとされています。
そのため、当事務所では、認知行動療法などの知見がある病院への通院治療をお勧めしております。
早期に弁護士が面会して、被疑者に説明をして、身柄解放に向けて活動して通院治療を開始することが再発防止対策をするために必要になってきます。
当事務所でも、覚せい剤・麻薬取締法違反容疑で逮捕された被疑者について、前科がありましたが、ご依頼頂いたのち親族の身柄引受書、本人の誓約書、稼働状況の資料を提出して保釈された事例があります。
診断書の提出の注意点
依存傾向の程度や通院治療を受けての治療可能性や再使用の抑制可能性について、医師の診断書を作成して頂き、裁判で提出することがあります。
そこで、検察官は診断書の提出について不同意意見を提出してくることも多いです。
診断書の証拠提出についての不同意意見が認められると、実際に診断をした医師に法廷に証人として出廷してもらう必要がありますが、出廷での証言について積極的な医師は極めて少ないです。
そのため、診断書の証拠提出において、検事の不同意意見についての理由などを精査し、検事の意見の撤回を求めることも必要な場合があります。
覚せい剤・麻薬取締法違反は被害者がいない犯罪とも言われており、弁護士の役割としては、通院治療などの再発防止対策が重要となっております。
特に、同じく覚せい剤・麻薬取締法違反の前科がある場合においては、再発防止対策が難しいとされてます。
医師による診断書が情状証拠として判決内容に大きく影響する可能性もありますので、通院治療について検討が必要になります。
法改正「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」
参照サイト 厚生省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43079.html
薬物を取り締まる主な国内法規
覚醒剤は、覚せい剤取締法
大麻は、大麻取締法
あへん、けし等はあへん法
麻薬(コカイン・MDMA等合成麻薬・LSD等)は麻薬及び向精神薬取締法
シンナー等は、毒物及び劇物取締法
と規制対象となる薬物がそれぞれの法律で定められています。
令和7年3月1日の施行
主に大麻草の栽培に関する規制が変わります。大麻草から製造される製品の原材料を採取する目的で大麻草を栽培できる第一種大麻草採取栽培者、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品の原料を採取する目的で大麻草を栽培できる第二種大麻草採取栽培者といった免許区分や、大麻草の種子に係る規制が設けられています。
○第一種大麻草採取栽培者は、「Δ9-THCの濃度が0.3%を超えない大麻草」の種子等を用いて栽培しなければなりません。
令和6年12月12日の施行
○また、下記のとおり、製品等に残留する Δ9-THC(テトラヒドロカンナビノール)について残留限度値が設けられ、この値を超える量のΔ9-THCを含有する製品等は「麻薬」に該当します。(Δ9-THCの含有量が限度値以下の製品は、麻薬規制の対象になりません。)
(イ) 水溶液 一億分中十分の量(0.10ppm、0.10mg/kg、0.000010%)
(ウ) (ア)及び(イ)に掲げる物以外のもの 百万分中一分の量 (1ppm、1mg/kg、0.0001%)